たかが靴されど靴なのだ。

おはようございます。哲学堂靴修理店に気になる靴を発見。職人に聞くとサイズを伸ばしている最中だとか。私には訳有りの靴に観える。存在感が違うのだ。靴にオーラを感じてしまう。これは色々と聞くしかない。きっと何か物語が有るな。

突然お客が来店。1964年のオリンピックの年に購入した陸上用のスパイク。当時は陸上部に所属していた学生だった。あれから58年の時が経ち使わずに保管していた。突然走りたくなり保管用の箱を開けると経年劣化で靴はボロボロ。70代の自分だがこの靴で走りたいと思った。なんとか修復して欲しいと持ち込まれたのだ。職人は悩み苦しみ数日掛けて修復する。

スパイクシューズなのですピンは外して有る。しかし靴底はボロボロ状態。インナーもボロボロ。試行錯誤を繰り返す。修復に数日要した。出来上がり履いてみるとキツイ。そりゃそうだ58年前の足と70代の足は変わります。そして専用機で伸ばしている最中だった。修復に掛かった金額は2万円ちょっと。金額の問題では無いのだ。1964年に購入した靴で2022年に走る。ロマンですよコレは。若者だった彼が70代の熟年となった。靴には彼しか知り得ない思い出が詰まっている。私は貴方の拘りに敬服致します。そして修復した靴職人に拍手を贈る。